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美容師になるには

 美容師になるには、美容師国家試験に合格して、厚生労働大臣が発行する美容師免許を取得しなければ、美容師として美容の仕事をすることはできません。一言でいえば美容師免許をもっている人が美容師なのです(当たり前ですね)。
 では、美容師になるには
1・美容学校を卒業する
2・美容師国家試験に合格する
ことが条件になります。
 美容師国家試験は美容学校の卒業が受験の条件で、美容師国家試験に合格して初めて美容師として働くことができるのです。それでは、もう少し詳しく説明しましょう。

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美容学校とは
 美容師になるには、美容学校を卒業して国家試験に合格しなければなりませんが、まず美容学校とはどういう学校であるかを説明しましょう。
 美容学校とは、厚生労働省が規定した条件を満たし、厚生労働大臣の認可を受けた学校をいいます。校名表示のところに「厚生労働大臣指定校」などと表示されていますので、わかると思います。
 注意しなくてはいけないのは、ヘアメイクスクールやビューティカレッジなどの校名を使いながら、厚生労働大臣の認可を受けていない学校があることです。認可を受けていない学校を卒業しても美容師国家試験の受験資格は得られません。
 美容学校の課程には、昼間勉強する昼間課程のほかに、夕方から勉強する夜間課程、通信とスクーリングで勉強する通信課程があります。認可校ならどの課程を選択しても卒業すれば、国家試験の受験資格が得られます。(昼間課程、夜間課程、通信課程については、別の項目で詳しく説明します)

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美容学校にある三つの課程
 美容学校には、
昼間課程
夜間課程
通信課程
の三つの課程があります。
 昼間課程は通常の全日制学校と同様、昼間授業を行います。就学年数は2年間です。
 夜間課程を行っている美容学校は都市部の美容学校の一部に限られます。授業時間は、夕方から始まり夜9時ごろ終えますが、開始時間、終了時間は学校によって違いますので、詳しくは個々の学校に確認してください。就学年数は、法律上は2年以上となっていますが、2年間、2年半など学校によって違います。
 通信課程は、通信によるレポート提出と面接授業を行います。面接授業は、美容店で従業している場合は300時間以上、そうでない場合は600時間以上です。学校によって300時間(美容店従業者対象)と600時間が決っていますが、現状は通信課程を行っている美容学校のほとんどは、美容店従業者を対象にしています。通信課程の就学年数は3年間になります。入学期については従来は10月入学でしたが、平成22年から4月に入学できるようになりました。

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昼間課程
 美容学校は2年間で2000時間以上の勉強をします。2000時間というのは最低の時間数で、各美容学校では、これよりいくらか多めに授業時間が組まれています。
必修科目が1400時間、選択必修科目が600時間となっています。

必修科目
 2000時間のうち1400時間が必修科目にあてられています。1400時間のカリキュラムは、厚生労働省によって、科目、授業時間が決められています。
 必修科目の1400時間は次の通りです。

科 目 授業時間数
関係法規・制度 30
衛生管理 90
美容保健 120
美容の物理・化学 90
美容文化論 90
美容運営管理 60
美容技術理論 120
美容実習 800
合 計 1400


 美容実習が800時間で、必修科目時間の半分以上を占めます。
 美容実習では、1スキャルプ・トリートメント 2カット(基礎・応用) 3ワインディング(基礎・応用)4 フィンガー・ウエーブ 5ピンカール 6国家試験(3パターン)7 シャンプー 8ヘア・カラーリング 9マニュキア 10フェイシャル・マッサージ 11新日本髪 12着付 13メイク 14エステティックを勉強します。

 美容師の資格制度を定めた美容師法は、もともとは衛生立法であり、衛生管理やその法規・制度に重点が置かれています。衛生管理では、公衆衛生の視点から伝染病に対する予防や消毒方法など、美容技術を行うための基本的な事項を勉強します。保健では、美容の仕事と密接な関係にある人体生理の基本的な事項を勉強します。物理・化学は、美容技術を行うための、基礎的な知識を習得します。文化論では、美容やヘア、ファッション風俗の歴史などについて、運営管理では、美容を営むための経営管理や、接客などについて学びます。

選択必修科目
 選択とつくと学生が自由に選択できる科目と勘違いしそうですが、美容学校が選択する科目です。600時間をかけて、どのような科目を勉強するのか、各学校が選択した科目によって、その学校の特徴があらわれますので、選択必修科目は、美容学校を選ぶときの重要なポイントになります。
 多くの美容学校では、着付、ネイル、エステティック、メイクなど、必修科目でも一通り学ぶ科目について、さらにより深く勉強したり、色彩学や接客心理学、フレグランス、写真撮影技術、特殊メイク、カウンセリングなど美容と関連の深い科目を取り入れたり、美容総合実習などと称して、必修科目の美容実習科目を補習したり、国家試験の受験対応に時間をとっている学校もあります。また、英会話や華道など実用、趣味の情操教育を行う美容学校もあります。

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夜間課程
 夜間課程は、昼間仕事をしながら夜間、通学して勉強する課程です。授業時間数や、科目については、昼間課程と同じです。
 就学期間は、法律では2年以上と定めれていますが、2年間ですべての科目を履修し、卒業できる学校もあれば、2年4ヶ月あるいは2年6ヶ月かけて修学する学校もあります。
 夜間課程は、すべての美容学校で設置しているわけではなく、都市部など一部の学校でしか設置していませんので、通学圏に夜間課程のある美容学校があるかを事前に調べる必要があります。また、授業開始時間や終了時間も学校によって違いますので、事前に学校案内を取り寄せて確認しましょう。

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通信課程
 通信課程は、日本理容美容教育センターが行う通信によるレポート提出授業と、各学校が行う面接授業(スクーリング)が行われ、就学年数は3年間です。通信教育には、美容店での従業を前提にしたものと、そうでないものの2種類があり、美容学校によってどちらかを選択しています。
 美容店への従業を前提をした場合は、面接授業が3年間で300時間以上、これに対し美容店で働いていない人を対象にした通信教育では600時間以上です。通信教育を行っているほとんど美容学校は、美容店での従業を前提にした通信教育を行っています。
 レポートは、毎月一回程度、課題となるテキストに基づき作成し、社団法人日本理容美容教育センターに提出します。
 通信課程は、美容店で働きながら勉強するので、強い意志がないと途中で挫折することになります。たいへんな努力が求めらますが、この制度を使って多くの美容師が誕生して業界で活躍しています。

科 目 面接授業時間数
関係法規・制度 10
衛生管理 30
美容保健 30
美容の物理・化学 30
美容文化論 10
美容運営管理
美容技術理論
美容実習 175
選択必修科目 20
合 計 315

 通信教育の内容は上の表のとおりです。
 通信課程の場合、多くの美容学校が中卒者を受け入れています。授業料もその分、2万円程度加算している学校が多いようです。
 面接授業は三年間で300時間以上、一年間で100時間以上行われます。おもに昼間課程が休みの夏休みや春休みに集中して行っています。1日7時間授業としても15日間は通学することになり、通信教育とはいえ、勤務地や居住地から遠方の学校へ入ると、面接授業のとき困りますので注意しましょう。
 添削などの通信教育については、厚生労働省の外郭団体である社団法人日本理容美容教育センターで行っています。同センターでは美容教育で使用するテキストや副教材なども制作していて、美容学校の多くは同センターが制作したものを使用しています。

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美容学校の入学資格
 平成7年の法改正(平成10年施行)で美容学校の入学資格は、中学卒から高校卒に定められました。
 美容学校のほとんどは、高校卒を入学資格にしてますが、なかには中卒を受け入れている美容学校もあります。中卒者を対象にした課程では高等専修課程として、高卒者とは別のカリキュラムで授業が行われます。
 また、通信課程では、多くの美容学校で中卒者を受け入れてます。

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国家試験について
 国家試験は、年に2回、春と秋に行われます。内容は実地試験と筆記試験です。
 受験資格は、美容学校卒業となっていますが、実際には昼間課程の場合は2年次の3学期、2月初旬(一部地域は1月末から)に実地試験、3月初旬に学科試験が実施され、3月末日に合否が発表されます。合格すれば卒業と同時に美容師として社会に出ることができます。
 国家試験は年2回行われているので、万が一国家試験に落ちた場合は半年後の国家試験に再チャレンジすることになります。
 筆記試験と実地試験の両方が受かって初めて合格になりますが、どちらかが合格した場合は、次に行われる国家試験では落ちた方の試験に合格すれば合格になります。しかし、万が一落ちてしまった場合は、その次は両方を受験しなければなりません。

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国家試験科目
筆記試験 美容師国家試験の試験科目は次のとおりです。筆記試験は100点満点で60点以上が合格です。ただし1科目でも0点があると不合格になります。
実地試験 事前に試験の内容が発表されますが、多くの美容学校では国家試験受験用の技術指導を行っていますので、まじめに勉強していれば、よほどのミスをしない限り受かります。

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美容師になれない人
 以前の美容師法では、テンカンなど精神に障害のある人は美容師になれませんでしたが、いまは障害者に対する差別的な規制が廃止され、障害をもつ人でも国家試験を受けて、専門医が認めれば美容師になれます。ただし、美容師として働いていて、万が一事故が起きた場合は、当然責任は追及されますし、雇用した経営者も責任が問われます。これは障害者だけに限った扱いではなく、障害のない人が起こした事故と同様の扱いです。
 現行法で、美容師免許が与えられないのは、無免許で美容の業務をした人に限られています。

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